ジャンパ連結器雑記帳
No.33 やっと陽の目を見たKE93 (3)
今回はキハ47基本番台としては2回目の増備となる昭和52年度1次債務車17〜33のジャンパ連結器について紹介します。このグル−プよりジャンパ連結器に変化が現れ始めます。
上の2枚の写真はキハ47 2017(元キハ47 17),19,22,32,33の前位ジャンパ連結器廻りを撮したものです。前回の1〜16に比べて大きな変化は前位1位妻板が大きく縦長に剔られたことと,スカ−トの形状が変化したことでしょう。
取り付けられているジャンパ連結器は1位妻板部に放送回路用KE66片栓ジャンパ線とKE66ジャンパ栓納め,2位妻板部には横長に剔られた窪みの中に低圧回路用KE53両栓ジャンパ線が挿入されたKE53Bジャンパ栓納めが2個となっています。一方床下側は1位に低圧回路用KE53Bジャンパ栓受けが2個,スカ−ト中央の梁にブレ−キ制御用のKE67ジャンパ栓納め,連結器胴受け下にKE67ジャンパ線受けが在りこれらにはKE67両栓ジャンパ線が装着されています。2位側はやはり低圧回路用KE53Bジャンパ栓受けが2個と一番端に放送回路用KE66ジャンパ栓受けが装着されています。尚1位妻板部にあるKE66ジャンパ栓納めの取り付け位置が昭和50年度3次債務車1〜16のグル−プに比べて窪みの出現により車端側へ移動していることが判ります。
さてこのグル−プより突如現れた妻板部の大きく剔り取られた窪みは何でしょうか?。この窪みこそがキハ66・67形気動車の血統を引き継ぐKE91用のKER17ジャンパ栓納めを取り付ける為のものなのです。前述したように何とか雑然とした気動車のジャンパ連結器を整理しようと2両1ユニットで運行されるキハ66・67の車間に初めて多心ジャンパのKE91を試用しました。しかし既存の気動車とのゴチャ混ぜ混結が考えられたキハ40系では単純にKE91化を図ることは出来ません。しかし新世代気動車を謳うキハ40系に何時までも雑然としたジャンパ連結器をぶら下げておく訳にも行かず種々検討の末,本グル−プより将来KE91ジャンパ連結器への取り替えが出来るように準備工事が為されたのです。
キハ66・67の窪みは単純な長方形に剔られた窪みでしたが,キハ47の窪みは上下にスロ−プのある窪みで,実際にKER17栓納めが取り付けられる際にはキハ66・67のそれよりも車間への出っ張りを少しでも少なくする様に考慮されています。

上の写真は本グル−プと同じ昭和52年度1次債務車のキハ47 1004の1位側KE53Bジャンパ栓受け取り付け部を撮したものです。向かって左側補助回路用KE53B栓受け取り付け部の斜め後ろにボルト穴と思われる穴が開けられています。この穴は昭和50年度3次債務車では無く,また後述する昭和53年度本予算車とも位置が異なっています。この穴がおそらくKE91ジャンパ栓受けを取り付ける為のものと考えられます。
上の2枚の写真は順番にキハ47 2017,キハ47 19の後位4位の妻部のジャンパ連結器の様子を撮したものです。新系列気動車のキハ47とはいえ1両単位の運用が基本の一般気動車ですので,ジャンパ連結器は両渡りに配置され,前位1位に在った窪みが後位では4位側に形成されます。
キハ47 2017では放送回路用のKE66片栓ジャンパ線が隣の車に渡され,低圧回路用のKE53Bジャンパ栓受けにKE53両栓ジャンパ線が装着されて隣の車に渡されていることが判ります。一方キハ47 19では放送回路用のKE66片栓ジャンパ線が自車のKE66ジャンパ栓納めに収納され,KE53Bジャンパ栓受けにもジャンパ線が挿入されていないことが判ります。まさに両渡り方式の特徴がこの2枚の写真には写し込まれています。
一方連結器胴受け下中央に設けられたブレ−キ回路用KE67ジャンパ連結器は向きが関係しないので,両栓ジャンパ線を使用して2車間をつないでいます。尚,KE67ジャンパ栓納めは連結器胴受け下端部(4位より)に取り付けられています。
昭和50年度3次債務車では4位側に開くようになっていた貫通扉は,同じ4位側に形成されたKER17用の窪みにより3位側へ開く用に変更され,それに伴い貫通扉ドアレ−ル点検口も無くなっていることが判ります。
上の写真はキハ47 2017の後位3位妻部のジャンパ連結器の様子を撮したものです。4位側にKER17ジャンパ栓納めを取り付ける為の大きな窪みを作った為に昭和50年度3次債務車(1〜16)と同じ4位側にも貫通扉用の戸袋を設けることが出来なくなりました。そこでKE91化の折りには必要無くなる3位側妻部に取り付けるKE53Bジャンパ栓納めの取り付け方法を,写真の様に取り付け板を介して直接妻板に取り付ける方式に変更し,KE53Bジャンパ栓納め取り付け用の窪みを廃し,3位側へ戸袋を設けることに変更しました。3位妻板下部の横長の蓋は,4位側より移った戸袋内部の貫通扉ドアレ−ルの点検口の蓋で,KE53Bジャンパ栓納め取り付けとの関係から蓋の縦方向の寸法が小さくなっています。また,KE53Bジャンパ栓納めの出っ張りを少しでも少なくしようと,戸袋の形成に支障が出ない範囲で当該部妻板を剔り取っているところが愛嬌です。
床下には暗くて判りにくいのですが,低圧回路用KE53Bジャンパ栓受けが2個と放送回路用KE66ジャンパ栓納めが装着されています。
上の写真はキハ47 19の後位車内を撮したものです。上述した様に4位妻板に設けたKER17ジャンパ栓納め取り付け用の深い窪みにより貫通扉を4位側に開けることが出来なくなり,3位側へ開く様に変更されていることが判ります。前回の昭和50年度3次債務車の車内の写真と比べてみてください。
次回はさらに変化を遂げるキハ47基本番台車としては3回目の増備にあたる昭和53年度本予算車を紹介します。
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