ジャンパ連結器雑記帳
No.46 やっと陽の目を見たKE93 (最終回)
初夏のある日のこと,或雑誌を何気なくめくっていたら1両のキハ40の写真が目に止まりました。キャプションには東北本線に乗り入れた烏山線のキハ40と紹介されていました。1位側に太いジャンパ線が装着されているのです。これ迄気動車にさしたる興味もなく特急型を除けば気動車のジャンパなどKE53,KE66,KE67,KE8と相場が決まっていました。キハ40系がKE93ジャンパ栓受け+KE94アダプタ−を装着していることは知っていましたが,まさかKE93を本使用しているとは知りませんでした。それからあのジャンパはなんだろう?,KE8?それともKE93?・・・。そんなことが気になっていた時に弊H.P.の読者の方より水郡線のキハ40でKE93が使用されていたとのメ−ルを戴きました。まさに絶妙のタイミングでした。水郡線は既に新系列気動車に置き換えられてキハ40は走っていません。と言うことはかなり以前からKE93が使用されていたことになります。既にキハ40系にKE93を使用した例があるのですから烏山線のキハ40の1位に装着されていた謎のジャンパもKE93かもしれません。とにかく自分の目で確認したい。もしKE93ならば今までKE94アダプタ−の後ろでひっそりと人目にも触れず,ひたすら自分の時代が来るのを待っていたKE93にやっと陽の光がさしてきたことになります。新系列気動車の出現によって一度も使われることなく廃車になった仲間も出だしているなかで遅ればせながらやっと陽の目をみたKE93を祝福してやらなければなりません。そんな動機から烏山線を訪問することになりました。
上の写真は烏山線で働くキハ40 1002です。雑誌で見た通り1位側に太いジャンパ線が装着されていました。
上の写真は上から順にキハ40 1009前位(1・2位)と同じくキハ40 1009後位(3・4位)の連結部を撮したものです。まず前位から見て行くと1位側にはKE66ジャンパ栓納め,KE66片栓ジャンパ線,KER16ジャンパ栓納め,KE93両栓ジャンパ線,KE93ジャンパ栓受けが,2位側にはKE53ジャンパ栓納め2個,KE93ジャンパ栓受け+KE94アダプタ−,KE66ジャンパ栓受けが,そして連結器胴受け廻りにはKE67ジャンパ栓納めとKE67ジャンパ栓受けが装着されていることが判ります。一方後位側3位にはKE53ジャンパ栓納め2個,KE93ジャンパ栓受け,KE66ジャンパ栓受が,4位にはKE66ジャンパ栓納め,KE66片栓ジャンパ線,KE93ジャンパ栓受け+KE94アダプタ−が,そして連結器胴受け廻りにはKE67ジャンパ栓納めとKE67ジャンパ栓受けが装着されています。
どうやらKE93ジャンパ連結器は2-4位側で渡され,反対側の1-3位側は従来のKE53両栓ジャンパ線による渡しが出来る様になっていることが判りました。さらに1位と3位の元ダメ管ホ−スが撤去されアングルコックのみが残っていることも判ります。このことより烏山線のキハ40は片渡り仕様となっていることが理解出来ます。
上の写真はキハ40 1002の1位に装備されたKE93ジャンパ連結器です。1位妻面に在った窪みにはKER16ジャンパ栓納めが取り付けられています。また写真手前にはホ−スの撤去された元ダメ管アングルコックが確認出来ます。
上の写真はキハ40 1009のKER16ジャンパ栓納め取り付け部の拡大写真です。栓納めの形状に対して窪みの幅がかなり大きく設定されています。
上の写真はキハ40 1009の1位のKE93ジャンパ栓受けを撮したものです。KE94アダプタ−を外したぶん栓受け体が前面よりへ移設されていることが判ります。また,栓受け体前面四隅にはKE94アダプタ−を固定していたボルト穴が確認出来ます。尚KE94アダプタ−の装着を意図しない近年のKE93栓受け体にはこのボルト穴は存在しません。
上の写真はキハ40 1009のKE93ジャンパ栓受けのアップ写真です。栓蓋と栓にはまさしくKE93の銘板が確認出来ます。
上の写真はキハ40 1009の3位に取り付けられたKE93ジャンパ栓受けです。こちら側は連結時に被連結車よりジャンパ線を渡される為にジャンパ栓納め及びジャンパ線の装備はされていません。
上の写真は石巻線のキハ48で編成は前より順にキハ48-552-キハ48 1544+キハ48 554-キハ48 1545となっています。小牛田運輸区所属のこのキハ48,ただのキハ48ではないのです。ワンマン化工事によりキハ48を背中合わせに連結し,正確な表現ではありませんが固定編成のような形となっています。
上の3葉の写真は上述した固定連結?部の貫通路を撮したものです。ワンマン化による車内での旅客の通行の容易化及び車内見通しの向上の為と思われる大胆な改造具合です。写真のとおりホロは下窄まりの6角形をしており,安全の為に内ホロも装着されています。また,渡り板はリンク機構の3枚仕様で一応デザインも考慮されていました。従来のデッキと客室との仕切壁は完全に撤去され,その代わりに417系交直流電車の様な透明な袖仕切が取り付けられています。
上の写真はキハ48 500の4位(左)とキハ48 1500の3位(右)の連結部を撮したものです。ホロでビックリしていたらなんと!ジャンパ連結器はKE93を使っているではないですか!。実は弊H.P.読者の方から仙ココのキハ48もKE93を使っていたとの目撃情報を戴いていましたが,自分の目で見るとやはり感動してしまいます。写真左のキハ48 500(車番失念)の4位妻面の窪みにはKER16ジャンパ栓納めが装着されています。
上の写真はキハ48 500の4位(左)とキハ48 1500の3位(右)の間に渡されたKE93両栓ジャンパ線です。半ば固定編成的な使われ方をしていると考えられますが,連結器は既存の密着自動連結器が使われています。
上の写真はキハ48 1554の3位に取り付けられたKE93ジャンパ栓受けと,それに挿入されたKE93栓です。やはりKE94アダプタ−を外したぶんだけ手前側に栓受け体が引き出されています。
上の写真はキハ48 554(左)とキハ48 1544(右)の前位同士の連結部を撮したものです。従来型との混結が考えられる為か前位は他のキハ40系と同様にKE94アダプタ−を介してのKE53両栓ジャンパ線による渡りが行われています。この写真よりKE53による渡りは,中間部のKE93による渡りとは反対側で行われていることが判ります。
上の写真は美濃太田車両区のキハ48形です。ここのキハ40系もKE93を使用しているのです。
上の2枚の写真はキハ48 6813の4位(上)とキハ48 3812の3位(下)の連結部を撮したもので,KE93ジャンパ線が渡されています。4位妻面窪みにはKER16ジャンパ栓納めが取り付けられており,3位妻面のKE53ジャンパ栓納めは取り付け板と共に撤去されています。
上の写真はキハ48 3809の3位と連結したキハ40 6304の1位を撮したものです。前面妻板窪みにはやはりKER16ジャンパ栓納めが装着され,KE93ジャンパ線がキハ48へ渡されています。
こちらは同じくキハ40 6304の後位で3位には栓蓋を赤く塗られたKE93ジャンパ栓受けが装着されています。
上の写真は伊勢車両区のキハ48形で,この区でもKE93が使われています。
上の写真はキハ48 6804の4位(左)とキハ48 5805の3位(右)の連結部を撮したものです。キハ48 6804の4位妻面にはKER16ジャンパ栓納めが装着され,両車にはKE93が渡されています。
よく見ていると美濃太田区も伊勢区も全てがKE93化されているわけではなく,従来通りKE53を渡している車も多く見かけました。全車両調査したわけではありませんが,ざっと半々程度といったところで,KE93化の過渡期なのでしょうか。

それにしても仙ココ,海ミオそして海イセも車間でKE93を使用しており,本来の解結作業の簡素化という目的からは乖離しているように思います。解結作業の簡素化よりもむしろワンマン化や冷房化による渡しの増加対応の為にKE93化を推進しているように思います。近い将来これら40系気動車の前面に誇らしげなKE93の姿が拝めることを期待したいものです。

長々と続けてきた40系気動車のジャンパ連結器のお話はこれにて完結とさせて戴きます。またこれら気動車に大きな変化があれば別途ご報告させて戴きたいと思います。
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