ジャンパ連結器雑記帳
No.25 土崎工場でみつけたもの
  今日は東日本旅客鉄道株式会社土崎工場で見かけたジャンパ連結器の作業場を紹介します。
  右の写真がそれで木造の建家1軒が作業場となっていました。私はこの看板を見かけた次の瞬間にはもう建家の中に入っていました。建家の中は概ね左側に部品棚,正面にはジャンパ線試験器,そして右側には検査済みのジャンパ線がスタンドに多数保管されていました。それはまさしくジャンパ連結器の世界でした。これまでにもいくつかのJR工場を見てきましたが,この様なジャンパ連結器専門の作業場を見れたのは初めてでした。
  次の写真は建家の壁に貼ってあったもので,この作業場で扱うジャンパ線の種類を示したものです。左側の『流れる部品(1)』にはKE70,KE76,KE9,KE5,KE53が写真入りで示されていました。一方右側の『流れる部品(2)』にはKE10,YL112,KE85,KE3,KE77が示されていました。ここに示されたジャンパ線より485系,583系,一般気動車,24系客車,ED75に使われる物を担当していることが伺えます。YL112は最近の電車の低圧回路の渡りに使われるコネクタ−式のもので,所謂ジャンパとは別分類です。

  次の写真もやはり建家の壁に掲げられていたもので,ジャンパ線被服の修繕の為の限度見本です。ジャンパ線の被服にヒビや亀裂が発見された場合,そのまま使用を続けるのか,ビニ−ルテ−プを巻いて修繕するのか,或いは交換しなければならないのかを現物を使って示したもので,誰でも簡単に修繕方法が決められるようにする為のものです。
  次の写真はこのジャンパ作業場の中央にデ〜ンと置かれた耐圧試験器です。検体のジャンパ線を試験器の栓受けに挿入して実際に電気を流して耐圧試験や抵抗を測定する機器です。幾種類もの栓受けが試験器に装着されており壮観でした。試験器にはもちろんKE5,KE9,KE10やKE3の高圧回路用栓受けも装着されており,試験中は高電圧が掛かり非常に危険な為に赤いパトライトが点灯するようになっていました。

  最後の写真は上の写真の対面側を写したものです。
  この作業場の担当の社員さんといろいろとジャンパ連結器についてお話をさせて戴き,私にとって土崎工場の中で最も居心地の良い見学場所でした。まさにジャンパ連結器を専門とする職場でしたので,私の質問に対しても的確な答えを戴き,私を嬉々とさせてくれました。
  私はもしかしたらと思い,KE54をKE85に変換する両栓は在りますか?との質問を試みました。社員さんは『う〜ん,昔は在ったけど今はもう無いね』とのことでした。急行『津軽』や『きたぐに』などで見られた雑形客車と12系客車を混結する際の必需品で,雑形客車のKE54と12系客車のKE85をつなぐ特殊両栓ジャンパ線でした。残念なことに現物は既に在りませんでしたが,私の質問の意味を即座に理解して答えて下さっただけで充分に私は満足することが出来ました。やはり専門家は違いますね。
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