ジャンパ連結器雑記帳
No.49 キハ182-36, 27, 38
今回はお座敷列車へ改造されるキハ400の代替として,キハ480との混結改造が施工されたキハ182-36, 37, 38をご紹介します。
落ち着いた塗色に強馬力化されたキハ400,キハ480の間に挟まれ,キハ480へ電源を供給する大役を担った元特急気動車。決して混結などされるはずが無かった一般ロ−カル用気動車と特急型気動車の混結に大いに興味をかき立てられました。しかし宗谷本線は余りにも遠く現役時代にはとうとう対面することは出来ませんでした。
一方ジャンパ連結器の調査を進めてゆく内にKE92に突き当たりました。KE92は新幹線用FCの電源用渡しとして使用されていたものですが,ガ−ドの固いJR-Cの車輌の調査はほとんど不可能と考えられました。しかしその後調査を進めてゆくと急行『宗谷』のキハ480への電源供給渡しにKE92が使用されていたことが判明しました。在来線ならば何とかなるかもしれません。早速キハ400,キハ480,そしてキハ182の動向調査をしたところ,キハ400はお座敷列車として,キハ480とキハ182は保留車として残存していることが判りました。
上の写真はキハ182-36の1-3側を3位より見たもので,下の写真は同車の2-4側を4位より見たもの。該車は2001年鉄道の日イベントで落書き電車となり無惨な姿を晒していた。
上の写真はキハ182-37の1-3側を1位より見たもので,下の写真は2-4側を2位より見たもの。
上の写真はキハ182-38の1-3側を1位より見たもので,下の写真は2-4側を4位より見たもの。
上の写真はキハ182-36の前位を撮したものです。1位には何も付いていませんが,2位妻面には貫通扉ドアレ−ル点検蓋を利用してKE53B用ジャンパ栓納めが取り付けられ,床下にはKE93ジャンパ栓受けとKE66ジャンパ栓受けが確認出来ます。増設KE53Bジャンパ栓納め+KE93ジャンパ栓受けとくれば,KE53×2+KE93特殊両栓ジャンパ線がすぐに頭に浮かびます。
上の写真はキハ182-38の2位に取り付けられたKE53×2+KE93特殊両栓ジャンパ線です。キハ182のKE93とキハ480のKE53をつなぐ特殊ジャンパ線です。
上の写真はKE93ジャンパ栓受けに挿入されたKE93特殊栓です。栓体のジャンパ線引き出し部が二股になっており,KE53ジャンパ線が2本引き出されていることが判ります。
上の写真はキハ182-37の後位を撮したものです。3位床下にはKE53Bジャンパ栓受けが2基とKE66ジャンパ栓受け1基装着され,4位床下にはKE92ジャンパ栓受けが取り付けられています。
上の写真はキハ182-37の3位床下に装着されたKE53Bジャンパ栓受けとKE66ジャンパ栓受けのアップです。
上の写真はキハ182-36, 37, 38を最も特徴付けるKE92ジャンパ栓受けです。三相交流220[V]の冷房用電源をキハ480へ給電する為に設けられたものです。余談ですが写真左上に見える端末処理を施された3本のケ−ブルは,撤去されたKE8ジャンパ栓受けへつながれていた三相交流440[V]のものと考えられます。
上の写真はキハ182現役車の4位妻面に設けられた栓納め群で,写真左はKE93用栓納めのKER16,右はKE8用のKER11栓納めです。キハ182-36, 37, 38では必要の無いこれら栓納めを撤去しています。
上の写真はキハ183系のジャンパ栓受けで,高圧補助回路用KE8を内側としてKE93栓受けと共に並んでいます。キハ182では2位及び4位に取り付けられていました。
上の写真は保留車として残っていたキハ480-304です。
上の写真はキハ182から給電を受けていたキハ480の後位を撮したものです。改造前のキハ48との相違点は3位に集中しており,床下にはKE92ジャンパ栓受けがKE94アダプタ−の左側に確認出来ます。また,妻面のKE53Bジャンパ栓納めの左やや上にはKE92用ジャンパ栓納めも確認出来ます。
上はキハ480の3位のアップ写真です。三相交流220[V]を受電する為のKE92ジャンパ栓受け及びKE92用ジャンパ栓納めがよく判ります。KE92ジャンパ栓受けも貴重な存在ですが,KE92用ジャンパ栓納めは非常に希少なものと言えるでしょう。このKE92用ジャンパ栓納めは,じっくりと観察した訳ではありませんが,外観形状から考えてJR内製の可能性が高いと考えられます。
上の写真はキハ480へのもう一つの給電車であるキハ400から改造されたお座敷気動車です。この改造が発端となって不足両数を補う為にキハ182が改造されました。
上の写真はキハ400-501の後位を撮したものです。4位のKE94アダプタ−の右隣にはKE92ジャンパ栓受けが確認でき,やはりキハ480へ電源を供給していたことが伺えます。
上の図はキハ480+キハ182+キハ400が連結した場合のジャンパ線の連結状態を示したものです。何ともゾクゾクする渡しが行われています。特にキハ182に於いて低圧渡しが交差しているあたりがたまりません。
平成15年4月1日現在キハ182-36, 37, 38は既に解体処分され,キハ480-304のみが保留車として残されています。現役時代の彼らを見ることは出来ませんでしたが,最後の最後に片鱗を見届けることが出来ました。
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