KE99 ジャンパ連結器



KE99はKE97ジャンパ栓受けに装入するためのジャンパ栓体で,後口体からは19心のジャンパ線が2本出て他方にKE64栓が各々付いています。所謂特殊両栓です。やはり向きがあり奇数向き(東京向き)はKE99-1,偶数向き(下関向き)はKE99-2となります。上図はEC537315からとったものです。
この特殊両栓は153系の偶数向き車(KE64ジャンパ栓受けのみで,KE64両栓を装備していない)との併結には良いですが,反面奇数向き(東京向き)クハ117には,この特殊両栓を保持するKE64用の栓納めKER5が必要となります。
しかしながらクハ117のお顔にはKER5ジャンパ栓納め2個が見当たりません。上図はVB120717よりとったものですがクハ117の2位にはKER5栓納めが描かれています。この図面をよく見てみると尾灯下向かって左側には四角い取り付け座らしきものが,向かって右側には細長い取り付け座のようなものが描かれており,その二つにプレ−トが渡され,そのプレ−トにKER5が2個取り付けられているように読めます。また尾灯下の足掛けも栓納めを避ける形で小さいものとなっています。
そこでクハ117のお顔を調べてみたところクハ117-1〜3迄は2エンド側の足掛けが小さなものになっており,更にクハ117-1の尾灯下左側には四角い台座があり,尾灯右側には縦に2個のボルトが刺してあることが判りました。この四角い台座と縦に並んだ2個のボルトはクハ117-1が川崎重工で落成した時点で既に存在していたことが判っています。一方クハ117-2の公式試運転時には台座は無く,足掛けのみが小型のものとなっています。これらのことより117系製作時に設計変更がなされKE99計画はお蔵入りになったものと推測されます。
下の写真はクハ117-302(原番号クハ117-2)ですが,運転席側の足掛けが助手席側に比べ小さくなっていることがお判りいただけるかと思います。



 
左はクハ117-1のお顔で,右はクハ116-1のお顔です。117系の第1編成として昭和54年9月12日に川重で落成しました。 
クハ117は向かって左よりKE5F-1,KE95,KE97-1,クハ116は向かって左よりKE97-2,KE95,KE5F-1を装備している。
KE97側の前面腰部の様子の違い。クハ117-1では図面VB120717のとおりKER5栓納めを取り付ける為の台座および埋め込みボルトが確認出来ます。しかし偶数向きのクハ116-1には何もありません。
クハ117-1のKER5栓納め取り付け準備工事の様子。
台座は中は空洞となっています。また埋め込まれている6角ボルトも縦一直線の配置とはなっていないようです。
上で説明したようにクハ117-2からは台座およびボルトは装備されず落成しています。クハ117-1だけに見られる設計の迷い?が現れた大変貴重な痕跡です。
最後に京都鉄道博物館で展示して頂いたJR西日本へ感謝の気持ちを表したいです。ありがとうございました。



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