ジャンパ連結器雑記帳 |
No.52 やっと会えたマヤ50 (+E491系) |
昨年夏頃郡山工場界隈を彷徨ていた時,EF81に牽引された白いボディ−に赤いラインの入った車輛を目撃しました。慌ててシャッタ−を切りましたが,その奇妙な妻面のデザインが気になり色々と調べてみたところどうやらスヤ50をE491系に併結出来るように改造したマヤ50らしいことが判りました。私が目撃したのは大宮工場で改造を終え,配置先の仙台電車区へ回送している最中だったようです。 |
E491の均整の取れた編成の中に車体断面の異なる客車改造車が組み込まれるとは,ゲテモノ好きの私を大いに期待させるものです。また,E491とマヤ50との連結部はどんな工夫が為されているのか興味は尽きません。 去る7月21日に青梅・五日市・南武線の検測が行われ,幸い会社が休日だったのでマヤ50を見てきました。 |
早朝三鷹電車区より出区し,三鷹駅3番線ホ−ムへ据え付けられたE491+マヤ50編成。この時間快速電車はまだ運転されておらず,3・4番線ホ−ムは締切中で2番線ホ−ムからの観察となる。 |
三鷹駅を出発するE491+マヤ50編成。これから日野駅電留線を経由して豊田電車区へ一時留置の為に向かう。 |
上の写真はクヤ490の4位とマヤ50の3位との連結部を撮したものです。本来モヤ490へ渡される高圧及び高圧補助回路用の渡し線はマヤ50の妻面に新たに設けられたツナギ箱へつながれていることが判ります。これら高圧及び高圧補助回路の渡しにはYH系コネクタ−が使用されています。またスヤ50時代からのKE64低圧回路用ジャンパ栓受け2連とKE6高圧回路用ジャンパ栓受けはそのまま据え置かれています。 |
上の写真はマヤ50の1位とモヤ490の3位との連結部を撮したものです。やはりマヤ50の妻面に設けられたツナギ箱を利用して渡し線が渡されています。こちらの渡し線は渡し線が真新しいインシュロックで束ねられていること及びケ−ブルが真新しいことより,マヤ50に搭載されているケ−ブルで本来の491系のものではないようです。やはり3位と同様にマヤ50にはKE64×2及びKE6がそのまま残されています。 |
左上の写真はクヤ490の4位とマヤ50の3位との間に渡されたケ−ブルで,右上の写真はマヤ50の1位とモヤ490の3位との間に渡されたケ−ブルのアップ写真です。クヤ490とマヤ50との間に渡されたケ−ブルはケ−ブル個々の間隔がコネクタ−の配列に合う様に束ねられていますが,マヤ50とモヤ490の間に渡されたケ−ブルは一応コネクタ−の配列に合わせる様に束ねられていますが,どちらかと言うと一纏め状態です。またその束ね方法も白いインシュロックが使われています。ケ−ブルの被服の状態もマヤ50とモヤ490の間のケ−ブルの方が光沢があり,新しく見えます。マヤ50を編成中に組み込む事により高圧及び高圧補助回路渡しが一組必要になりますが,この新たに準備された一組のケ−ブルがマヤ50とモヤ490の間に使われていると考えられます。 |
上の写真はマヤ50の3位妻面に設けられたツナギ箱で変形五角形をしています。正面には雨水避けとして蝶番を利用したカバ−が取り付けられています。カバ−には”高圧ジャンパ−栓”と印字された黄色テプラ−が貼り付けられています。このツナギ箱にはYH系ソケット(ジャンパで言う栓受け)が11個配列され,ケ−ブル先端のプラグ(ジャンパで言う栓)が各々ボルトで固定されています。 |
上の写真はクヤ490の3位(写真右側)とマヤ50の4位(写真左側)の連結部を撮したものです。クヤ490とマヤ50との間には低圧回路用55心の渡しケ−ブルが3本渡されています。本来E491系の低圧渡しはクモヤ491とモヤ490の後位側はKE158ジャンパ連結器が使用され,モヤ490の前位及びクヤ490の後位はYL6-55コネクタ−が使用されています。すなわち一方がジャンパ栓を持ち他端がコネクタ−用プラグを持つ特殊両栓ケ−ブルが使用されています。下の写真はクヤ490の3位(写真右側)とモヤ490の4位(写真左側)の連結部でモヤ490の4位ではジャンパ連結器(KE158)が使われ,クヤ490の3位ではコネクタ−(YL6-55)が使われていることが判ります。 |
再び一つ前の写真へ戻って写真右側のクヤ490の床下にはYL6-55ソケットが3個用意されており,これにYL6-55プラグがボルトで装着されています。一方写真左側のマヤ50では前述した高圧側と同様なツナギ箱が用意され,これにYL6-55ソケットが4個設置されています。4個のソケットの内クヤ490との連結に使用されるのは内側の3個です。つまりクヤ490とマヤ50との間はYL6-55プラグを両端に持つ55心ケ−ブル3本が渡されていることになります。言うまでもなくこのケ−ブルはマヤ50との混結の為に新たに用意されたものです。さて1個余ったYL6-55ソケットですが,これはおそらくキヤE193系との混結時に使用されるものと考えられます。その他余談ですが,マヤ50に新たに接地線用ステ−が取り付けられています。このステ−はスヤ50時代には無かったもので,やはりE491系との混結で接地線を引き通す必要から設けられたものと考えられます。 |
上の2葉の写真はクヤ490の3位とマヤ50の4位との連結部のアップで,左側の写真はクヤ490の3位を,右側の写真はマヤ50の4位が写る様に撮ったものです。クヤ490の床下にはYL6-55ソケット3連が付いたツナギ箱が確認出来ます。また,マヤ50の妻面にはやはりYL6-55ソケットを持ったコネクタ−ボックスが取り付けられています。このコネクタ−ボックスの造作は前述した高圧側と類似のものです。さらに低圧回路用KE64K×2及び高圧回路用KE6がスヤ50時代と変わらずに残されているのは高圧側と同様です。 |
上の写真はマヤ50の2位(写真右側)とモヤ490の4位(写真左側)との連結部を撮したものです。この部分の低圧回路渡しにはモヤ用にKE158ジャンパ栓,マヤ用にYL6-55プラグを各端に持った特殊な両栓ケ−ブルが3本使われています。これはモヤの4位にはKE158ジャンパ栓受けが使われ,一方のマヤ側は2位妻面にYL6-55ソケットを持ったツナギ箱が在るためです。 |
上の2葉の写真はマヤ50の2位とモヤ490の4位の連結部のアップで,左写真はマヤ50の2位を,右写真はモヤ490の4位が見えるように撮った物です。マヤ50の2位は前述した4位と全く同じ造りで妻面にコネクタ−ボックスが在ります。コネクタ−ボックスには4個のYL6-55ソケットが在り,モヤ490とは内側の3個のYL6-55ソケットを用いてつながれています。また,低圧回路用KE64×2,高圧回路用KE6ジャンパ栓受けが残されていることは1位,3位及び4位と同様です。さらに接地線用ステ−も新たに設けられています。モヤ490の4位は本来のKE158ジャンパ連結器をそのまま使用しています。栓及び栓蓋は内側より赤,青,灰色の3色に識別されています。 |
上の絵はE491とマヤ50との混結時の渡しの様子を簡単に表したものです。拙い文章よりも絵を使うことで少しは皆様の理解の助けになればと思います。 |
上の写真はマヤ50の室内にあったジャンパケ−ブル類です。一体何種類のジャンパが積み込まれているのかゾクゾクしてきます。 |
これはマヤ50端部にあった車掌弁です。その横には ”E491・キヤE193との連結時は使用しないでください” との注意書きシ−ルが貼られていました。 |
さてマヤ50のゲテモノぶりを演出しているのは妻面から屋根にかけて取り付けられた引き通し線ダクトではないでしょうか。上の一連の写真は前位側から後位側へかけてダクトを追ったものです。これまでの改造事業用車の多くは改造工事の簡素化の為に車内の床にダクトを通すこと通例でした。しかしながらマヤ50の場合,車内にはディ−ゼル発電器を始め種々の測定機材が積まれ新たにダクトを室内に通す余裕がありませんでした。E491やキヤE193との併結によって生じる引き通しは,妻面に設けたツナギ箱間を屋根を経由して車外のダクトで結ぶ方法が採られました。さらにツナギ箱を妻面に設置したことによりテ−ルライトの移設を余儀なくされ,ダクトと一体化したデザインで妻面上部に新たにテ−ルライトが移設されています。また妻面のツナギ箱から屋根へと立ち上がるダクトはホロ取り付け枠を兼ね備え,さらに貫通路上部には貫通路を閉鎖する為のシャッタ−が組み込まれています。 |
上の2葉の写真はマヤ50の2-4位側を2位側と4位側より撮したものです。 |
E491とマヤ50は豊田電車区で休んだ後,立川迄戻り立川→奥多摩→立川と青梅線を検測し,さらに立川→武蔵五日市→西立川と五日市線を検測,西立川でしばしの時間調整の後南武線の検測の為に西立川連絡線へ入ってゆきました。 今回はE491とマヤ50との併結を取材しましたが,機会を見つけて今度はキヤE193とマヤ50との併結を取材したいと考えています。 尚,マヤ50の前身であるスヤ50については弊H.P. ジャンパ連結器雑記帳No.35 マヤ検 (その2) で取材していますので,興味のある方は是非ご覧下さい。 |
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