ジャンパ連結器雑記帳
No.20 115系3500番台
 今日は西日本旅客鉄道株式会社岡山電車区と広島運転所に配置されているモハ115-3500+モハ114-3500ユニットのジャンパ連結器についてお話します。
  115系モハ3500番台ユニットは,117系モハユニットを115系へ改造編入したもので,現在ではユニット外側にクハ115を連結して4連で運用されています。115系の低圧回路用ジャンパ連結器はKE76を使用していますが,117系のそれはKE96を使用しています。3500番台ユニットはKE58 or KE76を装着する車と連結する為に生まれたもので,当然ジャンパ連結器もKE76へ換装されているものと思っていました。

 ところが右写真の様に3500番台のジャンパ連結器はKE96をそのまま使っていました。写真左側はクハ115の4位でKE76が3連装着されています。また,写真右側はモハ115の2位でKE96が1個装着されています。両車はKE76×3+ KE96の特殊両栓ジャンパ線で連結されています。次の写真もやはりクハ115とモハ115-3500番台の連結部を撮したもので,クハ115の3連のKE76がはっきりと確認出来ます。
  ここで問題となるのはKE96栓受けに挿入されている,3本のジャンパ線が付いている栓の名称です。通常のKE96栓は1本のジャンパ線しか付いていませんが,この特殊栓からは3本のジャンパ線が引き出されています。3本のジャンパ線は正面から見て∵型に引き出されています。そこで栓に貼り付けられている銘板の名称を確認したところ単に”KE96形ジャンパ連結器”とあり,少々ガッカリしてしまいました。明らかに栓本体の造作がKE96と異なっているにもかかわらず同じKE96と称されているようです。
  次の写真はモハ115-3500の2位及びモハ114-3500の4位妻板に1個取り付けられたKE76用栓納め,KER4-4形ジャンパ連結器栓納めです。これは3500番台モハユニットとつなぐ相手車輌が非冷房車であった場合,その車のジャンパ栓受けがKE76の2連装である可能性が在るためのものです。すなわち相手車輌がKE76×2しか装備していない場合,KE76×3+KE96特殊両栓ジャンパ連結器の1個のKE76が余ってしまいます。この時余った1個のKE76を納めておく為に,このKER4-4形ジャンパ連結器栓納めが装着されているのです。
 115系の3個のKE76ジャンパ連結器は内側よりLJCR-1(制御),LJCR-2(補助1),LJCR-3(補助2)となっています。また,KE96の3本のジャンパ線は 車体外側← ∵ →車体内側  とした場合,上段外側がLJCR-3,上段内側がLJCR-1,下段真中がLJCR-2に各々対応しています。LJCR-3には冷房制御回路,行先表示器制御回路,蓄電池制御回路,MGリセット回路,三相制御回路等が引き通されており,非冷房車等との連結では引き通す必要がありません。そこでこのLJCR-3を納めておく為に前述のKER4-4形ジャンパ連結器栓納めが1個妻板に取り付けられています。
 余談ですが3500番台モハユニット間はKE96×1が渡されています。また,純然たる115系として生まれた3000番台モハユニットはKE76×3が装着されているので,この様な特殊両栓ジャンパ連結器を見ることは出来ません。
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